院内誌「うるおい」
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第40号 ご挨拶 (2009年・春)
「医薬分業」しましてから約1年が経過しましたが皆様いかがでしょうか。もうどこの医療機関も分業は当たり前の時代になって慣れられたと存じます。何度も申し上げますが「医者が薬を出すことが不自然」なのです。時に患者さんから「良い薬局を作られましたね」と言われることがありますが、大きな誤解です。薬局と医療機関とはいかなる利益関係もなく、あってはならない法律があるからです。
さて、当院は「院外処方箋」のみを発行しておりますから待ち時間は少なくなったと存じます。薬局には4名以上の薬剤師がおり、お薬を作るスピードも格段に速くなっていると存じます。医療機関は薬を出すことによる利益はなくなりますが、患者さんは2回財布を開けるなどの面倒があるかと存じます。しかしながら「お薬手帳」にて処方の管理や、薬の飲み方もかなり工夫されて良い点も多々あるかと存じます。耳・眼の不自由な方、ご高齢で歩けない方、その他「院外薬局」への歩行が困難な方はご遠慮なく申し出て下さいませ。薬局が必ずや考慮してくれます。また、薬に関して疑問がありましたらご自分で判断されることなく薬局ないし当院に遠慮なく電話ご相談下さいませ。それなりの対処を全力ですると存じます。宜しくご理解の上、今後とも宜しくお願い申し上げます。
さらに、かなり長期に「薬だけ」となっている方が散見されます。「薬だけ」でも「異常ないかどうか」をお聴きしますのでご協力下さいませ。高血圧症・糖尿病など慢性疾患の患者さんは再診だけでなく「医学管理下」にあると見なされますのでご理解下さいませ。また、胃と便の検診をお忘れなく。
第39号 ご挨拶 (2008年・冬)
新年明けましておめでとうございます。今年も皆様がご健康でありますように。
さて、毎年、冬になると流行する従来型のインフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症で、高熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠などの症状は似ていても、風邪とはまったくの別物です。
「新型インフルエンザ」は ひとたび爆発的に感染すれば、日本国内の人口の4分の1にあたる3,200万人が感染し、最悪の場合64万人が死亡するといわれています。毎年流行するAソ連型、A香港型などのインフルエンザウイルスは、元々は鳥インフルエンザウイルスだったもので、突然変異を続け、人にも適合するようになったもので、鳥インフルエンザが人同士で感染する新型インフルエンザに変異すること自体は、実は過去から繰り返されてきたことなのです。
1918年のスペイン風邪では世界で4,000万人死亡しました。遅かれ早かれ、新型インフルエンザが発生することは避けようがありません。新型インフルエンザが日本に入ってきた場合、患者の隔離や就業制限などの強制的処置が取られるます。最大10日間の潜伏期間の間、病院などの停留施設で感染していないか健康状態を観察されます。医療機関などが、新型の感染者を通常のインフルエンザと間違えて処置しているうちに、感染がどんどん広まることも充分に考えられます。
対策として、広まった場合、外出や集会の自粛をして必要に応じて発生地域の学校や大規模施設の一時的閉鎖が求められます。感染を拡大しないためには、人と人の接触を極力減らし感染リスクを下げる必要があるからです。
米国では、国内の感染の拡大(パンデミック)が確認されたなら、大学を含むすべての教育機関を3カ月間、閉鎖することが決まっていますが、日本では感染が拡大した場合、どれほどの期間、学校を休校にするかも決まっていません。また、外出自粛なども強制力がないのです。食料の備蓄なども真剣に考えましょうね。
第38号 ご挨拶 (2008年・秋)
以前もお話したことがあるのですが「ジェネリック」について患者さまにご理解して戴こうと存じます。ジェネリックとは特許の切れた後発薬品で安価なのがメリットです。当院の院外処方箋のチェックに関わらず、当院は出来るものはほとんどジェネリックとなっております。但し、ジェネリックといえどもピンからキリまであり、当院は粗悪品は一切使用許可しておりません。ジェネリックといえども安全なものを選択しております。
さて、患者さんによっては誤解されておられますが、すべての薬剤にジェネリックがあるはずはありません。絶対に特許の切れた医薬品に限定されます。皮肉なことに特許の切れる頃にはもっと有効で安全な薬剤が開発されていることです。最新の高血圧・脂質異常症の薬がそうです。私は安いからといって、効きもしない薬を大事な患者さんに処方するつもりは全くございませんから、患者さんにとって有効な処方をいたします。往往にして、そのような薬にはジェネリックはないのです。そもそも新しい薬の薬価が高いのが問題なのです。開発費はかかるでしょうが厚生労働省の役人が決めていることです。困ったことです。
いずれにしましても、当院は患者さんのために有効な処方箋を発行し続けることに変わりはございません。ご理解下されば幸いでございます。
第37号 ご挨拶 (2008年・春)
皆様、既にご存じのように本年四月より「医薬分業」つまり当院からは薬を投薬せず「院外処方箋」を発行しております。
理由は色々とございますが、一言で申し上げるならば「八鹿病院」も行っているように「時代の流れ・厚生省の方針」とご理解して戴ければ幸いです。事実、先進国で医薬分業していないのは日本くらいなもので、外国ではこれがむしろ「当たり前」なのです。
これによって、医療機関は薬を出すことによる利益はなくなります。 医師は薬で利益を出そうとなど考える必要はなくなります。
しかしながら、患者さんは二回財布を開けるなどの面倒があるかと存じます。しかしながら「お薬手帳」にて処方の管理や、薬の飲み方も工夫されて良い点も多々あるかと存じます。 耳・眼の不自由な方、ご高齢で歩けない方、その他「院外薬局」への歩行が困難な方はご遠慮なく申し出て下さいませ。 薬局が必ずや考慮してくれます。宜しくご理解の上、今後とも宜しくお願い申し上げます。
さらに、最近カルテを見させて戴いて思うのですが、かなり長期に「薬だけ」となっている方が散見されます。「薬だけ」でも「胃常ないかどうか」をお聴きしますのでご協力下さいませ。高血圧症・糖尿病など慢性疾患の患者さんは再診だけでなく「医学管理下」にあると見なされますのでご理解下さいませ。また、薬の副作用の点、或いは新たな病気の早期発見の点からも定期的に診察室に入って下さいね。
第36号 ご挨拶 (2008年・冬)
新年あけましておめでとうございます。今年も皆様がご健康でありますように。
さて、ご存じのように「養父市」に市町村合併されてから健康診断が「市民ドック」という名前になり、戸惑っておられる方が多いようです。期間も12月までと長くなっております。報告書の記載方法も変わっております。医療機関としても従来の検診内容・報告が異なっており困ることが多々ございます。
しかし、もっと驚くのは「市民ドック」を受けられない方がかなり多数おられることでしょうか。当院通院されれいる患者さんでも同様に検診されていない方が多いようです。是非、受診して欲しいと存じます。
胃透視で精密検査に回る方も多いかと存じますが、年齢によってはバリウムによる「腸閉塞」を生ずる方もあるのです。高齢者はできるだけ胃内視鏡(胃カメラ)の検診をお勧めします。これによって無用な事故を防ぐことができるかと思います。よく注意してください。
さて最近はAEDといって「自動体外式除細動器」があちこちにみられるようになりました。是非、皆様も知識を深めておいてください。当院にもこのAED「自動体外式除細動器」は設置してあります。医療機関ですから待合室などに置いてあることはありませんが、いつでも使える用意はしておりまあす。尤も、これを使うようなことはあってはいけませんがね・・・。
第35号 ご挨拶 (2007年・秋)
医学の進歩?は日進月歩で3年前の知識さえ今では役に立たないこともしばしばです。また進歩というより医学的常識が全く変わることもしばしばで、それだけ人間という生命体は解らないことだらけということでしょう。動脈硬化も1例で、単純に加齢と共に血管にコレステロールが貯まる病気かといえば全く違うのです。
当院でもコレステロールが300もあるのに90歳にもなり認知症もない患者さんもおられれば、コレステロールが正常なのに心臓血管にひどい動脈硬化を起こす人もいます。動脈硬化は老化ではありません、一つの病気であり改善もするのです。
今年から高脂血症という表現が変わりました。「脂質異常症」と変更されます。その理由は私も疑問に思っていたのですが、善玉コレステロールが「低い」のは病気なのに「高」脂血症とは「これいかに」ですよね。今年からは全体のコレステロールは基準になりません。動脈硬化を起こすLDL(悪玉)コレステロールが140以上、HDL(善玉)が40以下、中性脂肪が150以上であれば「脂質異常症」となり治療の対象となります。但し、HDL・LDL共に当院のような検査機器を持っていても当日測定は無理なのが現状ですから、しばらくは全体のコレステロールで評価することに変わりはないでしょう。
第34号 ご挨拶 (2007年・春)
当院は今年の5月で開院15周年を迎えました。
この間、当院を支えてくださいました患者さん皆様方に心から厚く御礼申し上げます。
当院は開院当初から総合診療科ないし総合内科として発足しました。従いまして、循環器のみならず消化器疾患、呼吸器疾患の患者さんなども診せて戴いております。
各疾患おのおの3分の1づつ占めていると考えてよいかと存じます。これらの疾患の診断と治療を支えているのは医療機器でもありますす。循環器には2台目の血流診断可能な心エコー診断装置、消化器には3台目の胃内視鏡と腹部エコー、呼吸器にはレントゲン装置と迅速な3台目の生化学検査装置などがお役に立っていると思います。
特にレントゲン装置は今年3月25日にデジタル化され、これによりさらに優れた画像を観ることができるようになりました。さらに病院や他の医療機関との連携については、各医療機関に向けて書かせて戴いた紹介状は3月の時点で7,600通にも及びます。これは1年間に500通以上書いた計算です。また、当院は幸いに消防本部と病院との間に位置しており救急患者さんの搬送にも便利なことは患者さんに安心して戴ける環境かとも思います。
さらに、最近は患者さんご自身が医療機関について豊かな情報を持っておられ、多少遠方であろうとも他の医療機関での十分な治療と診断を希望されることが多くなりました。これにつきましても診察室のインターネット検索にて容易に情報の入手が可能でありご希望に添うことができるようになりました。また、今年の4月には受付に最新の医事コンピューターを導入しました。患者さんは直接には目にされることはないこかとは思いますが情報の保全に十分な配慮がされているかと存じます。
これからも当院を宜しくお願い申し上げます。
第33号 ご挨拶 (2007年・冬)
新年あけましておめでとうございます。今年も皆様がご健康でありますように。
さて、ご存じのように世界人口は65億人を超えて増えつつあるのですが、その内でその日をやっと生きれるかどうかの飢餓人口は8億人、肥満人口はそれを上回る10億人といわれています。このアンバランスは人類四百万年の歴史上初めて経験することです。
元来、飢餓との戦いに明け暮れた進化の歴史の中で私たちの体には極めて少ないエネルギーで効率よく運動できる仕組みが完成し「倹約遺伝子」を持つに至りました。血糖を例に挙げるなら血糖値が下がってきた時に下がり過ぎないようにするために分泌されるホルモンはカテコールアミン、グルカゴン、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、副腎皮質ホルモンと少なくとも五つもあるのに、血糖を下げるホルモンはインスリンしかありません。つまりは血糖が上がる「食べ過ぎ」は進化の過程で想定されていないのです。
チーターだって「飢え死に」するんですよ。よく「運動しているんですけどねえ~」と言われますが、体脂肪1キログラムを運動で燃焼させるのには約37時間連続歩行しなければなりません。男性用お茶碗ご飯1盛では坂道を30分歩く必要があります。マーケットのスナック三袋だけで1日を最低限生きていけます。
スーパーマーケットで買い物するときに、表を見ないで裏の表示を見て下さい。カロリーは難しいですから「原材料名」を見ましょう。ここには材料成分の多い順に記載されています。どんなに健康食品的なアピールがあっても「原材料名」の一番最初に「砂糖」と書いてあったら要注意です。
要は運動も必要ですが食事制限の方が理にかなっているということです。人ごとではありません、私ごとです。
第32号 ご挨拶 (2006年・秋)
残暑厳しいおり皆さんお元気でお過ごしのことと存じます。
さて、今回は「ジェネリック」について再度ご説明しましょう。ジェネリック(後発品)とは「新薬と同じ成分、同じ効きめの薬」といわれています。
テレビでは「これにより薬代を三割から八割抑えることができます」と語っていますが本当でしょうか。成人病3大疾病について考えると、高血圧ではARBという種類の薬が今や第1次選択です。コレステロールが300以上ならリ○トールでないと全く効果はありません。糖尿病ならインスリン産生細胞を疲れさせない新しい世代の薬を選ぶのが常識です。
では、これらに特許の切れた後発品の薬があるかといえば全くありません。高血圧や狭心症にはカルシウム拮抗剤を使用します。これには第三世代を使用するのが常識ですが、これにも後発品はありません。また、抗生剤も効き目の判然としない薬ではなくシャープな薬を使用するのが患者さんのためですが、どうでもいい薬が後発品なのです。注射薬では「同じ成分」とはいいますが、問題は賦形剤(ふけいざい)といって主成分に付け加えた物質なのです。これが後発品では極めて怪しくショックの原因とさえなります。わざわざ危ない薬や効果の判然としない薬を使うのは当院のポリシー・方針に著しく反します。胃薬や便秘薬などどうでも良い薬ほど後発品は多いですが、これらを使用して薬代が格段に安くなるとはとても思えません。問題は特許のある先発品の薬価が高すぎることに尽きます。それが証拠に、大手の製薬会社の利益は莫大なものです。その会社の薬価は官僚と交渉して決まるのですが、これこそ極めて怪しい不透明な世界です。
今や、医療機関が先発だろうが後発だろうが薬を出して利益などありません。それが証拠にみんな院外処方戔を発行して院外薬局で薬を作らせています。
第31号 ご挨拶 (2006年・春)
やっと、暖かい季節がやってきました。
皆さんお元気でお過ごしのことと存じます。
さて、当院は今年新しいエコーを導入しました。以前からカラードップラーにて心臓内の血流診断の出来るエコーを使用していましたが、今回はこれに加えて各種血管、特に頸動脈のエコーが可能になり動脈硬化の診断と血流速度の測定が出来るようになっております。
腹部のみならず心臓の血流診断は元来当院の得意とするところですが、新しいエコーにより脳を養う大切な頸動脈の動脈硬化と血流の評価が出来るようになりました。
皆さん、NHKの「ためしてガッテン」という番組をご存じでしょう。私もこの番組が好きですが、その理由は極めて確かな根拠に基づいて説明をしていることです。時に医師である私でさえ教えられることが多々あるくらいですからね。
この番組の今年1月18日の放送は「心臓病は防げる!最新・動脈硬化チェック法」でしたが、ここで使用された「頸動脈エコー」がまさに当院に導入されたエコーなんです。これと同種のエコー導入は但馬で初めてです。心臓と腹部のエコー能力も拡大しました。これにより、皆様の疾患のより早い発見と治療のお役に立てられると存じます。
しかし、なんといっても予防が肝心です。
「薬食同源」という言葉がありますが、薬と食事は同じ源(みなもと)という意味です。薬を飲むことも食事を改善することも同じ治療ですよ、ということですね