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院内誌「うるおい」

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第69号 勇気  (2018年・秋)

 医療と勇気とどう関係しているのでしょうね。昨年は、体育系でパワハラが問題視されましたが、どうも日本人は「精神力」とか「根性」「がんばる」を強調する嫌いがありそうです。外来でも「精神力がないんです」とか「努力します」「ストレスだらけで出来ません」とか言われます。言葉は背後に自分では意識していない別の意味を含んでいることもあります。「出来ない」のではなく「したくない」のかも知れません。我々が「病気」になるとき、単なる病気と考えるか、自分の生活のスタイルを変えてみるチャンスと見るかで、「病気」は「健康への足がかり」にもできるのではないでしょうか。

 高血圧症・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症などを「生活習慣病」と表現するようになりました。その生活習慣スタイルを変えるには何が必要でしょうか。そこに「根性」とか「精神力」とか「性格・性分」は必要なく、必要なのは、別の健康スタイルを意識する「勇気」「決断」だと私は思います。健康は突然に神仏が与えてくれるものではありません。自分なりの健康生活習慣に変えていく道を「勇気を出して」探してみませんか。


第68号 骨粗しょう症  (2018年・夏)

第65号

 「骨粗鬆症」が正しいですが、難しい漢字は「ひらがな」にしてしまうため、本来の意味が判らなくなりました。「鬆」は「ス」とも読みます。「スが入っている」とかいいますよね。「スカスカ」の「ス」です。つまり「骨にスが入っている」状態ですから、圧力に極めて弱く骨折を起こしやすいことになります。高齢者、特に閉経後の女性に圧倒的に多いです。

 一度骨折すると骨折が連鎖し、寝たきりになり認知症にもなるため、決しておろそかにはできない病態です。骨は鉄筋のように変わらないと思うでしょうが、顕微鏡で見ると「骨を作る細胞」と「骨をこわす細胞」が共存しています。つまり、「こわしながら・作りながら」の新陳代謝をしているのです。そのバランスが崩れて骨をこわす方が勝っていると「骨粗鬆症」になるわけです。

 検査法には、腰椎や大腿骨頚部のレントゲンによるDXA法、手のレントゲンによるMD法、CT法、踵骨(かかと)超音波測定法があります。当院はこのどれも使いません。骨密度を測る度にレントゲン照射するのはよいことでしょうか? 超音波も含めて、どれが正しい測定法なのでしょうか? 治療効果は別々の検査では比較できるでしょうか?

 当院は「骨由来のアルカリフォスタファーゼ」採血によるBAP測定法を使います。これが当院の唯一の指標です。骨の破壊が進むと「骨を作る酵素BAPが上昇し骨を作れと命令している状況」になります。これが高い人ほど骨粗鬆症であり、治療するとこの数値は19以下に低下します。私のBAPは、8.5でCXA法と一致しています。

 治療薬の進歩は著しいです。当院では、多剤内服をさけるため重症の骨粗鬆症で圧迫骨折のある高齢者には、年二回の皮下注射を使用します。この効果は抜群です。カルシトニンの注射も使用します。閉経後の中年女性にはサームを使います。その他にビタミンD・ビタミンKを使いますが、なるべく多剤投与にならないように努めています。骨粗鬆症の患者さんのデータは全て蓄積されており効果判定に用いています。

第67号 検診のすすめ  (2018年・春)

第65号

 暖かくなり、検診の季節になりました。検診の意義については専門家でも意見が異なります。検診してもガンの発見率や生存率は変わらないという指摘もあります。私は、検診はとても大切だと考えます。

 検診を毎年受ける人は健康に関心があり、医療機関に通院中でも検診してくださいます。問題は、検診は受けない方は毎年受けようとしませんから、発見率が全く上がらないことです。毎年、市から案内があっても検診する人は「いつもの仲間」という訳です。

 私の経験では、会社勤めの方は会社検診を、何らかの疾病で通院中の人は医師の勧めもあり関心が高いと思います。しかし、自営業の人は検診のために休むという考え方があまりありません。会社員と違って有給休暇があるわけでもなく、土・日曜日も仕事のことはめずらしくありません。このような方が調子が悪くて来院される時は、かなり進行していることが多々あります。あるいは、急に死に至る病気を発症してしまいます。そして自営そのものが破綻しかねない例をいくつも知っています。

 医師も例外ではなく、検診を受けない割合が極めて高いです。「医師って病気になるんですか?」という質問を受けたことがありますが、医師も人間ですもの、致命的疾患で亡くなった同級生や後輩もいます。検診を受けない医師の理由の多くは「時間がない」で、次に多いのは「代診がいない」、つまり休んでも代わりに外来をしてくれる医師がいない、とのことです。

 当院は、開業してから毎年六月に「職員の健康診断」のために丸1日を休診としています。私も人間ドックに入り、皆さんの嫌がる胃カメラも受けるんですよ。健康診断のために休診にする医療機関など皆無といっていいでしょう。

 自営業の方や、今まで検診したことのない方に、特に検診をお勧めします。

第66号 歯周病と認知症、全身疾患  (2017年・冬)

第65号

 歯は消化器の入り口ですが、他の消化器と異なり自分の意志で噛む動作をします。脳の命令で噛む動作は、「脳の働き」に相互に関係しています。さらに、歯を失う歯周病は「全身の病気」や臓器に深く影響を与えます。

(1)「認知症」:歯を失う過程は脳の活動を低下させ認知機能を悪くします。口腔ケアで温存された歯は咀嚼機能を保ち、脳へ刺激を与え「認知症」の予防と改善に大きな役割を持っています。
(2)「動脈硬化」:歯周病は単なる歯の病気ではなく、血管内に侵入した歯周病原性細菌やその病原因子・炎症物質が血管壁を傷つけ、そこに悪玉コレステロールが蓄積し動脈硬化を起こすといわれています。
(3)「糖尿病」:糖尿病患者さんは感染症に弱く、歯周病にもなりやすく、糖尿病合併症の1つであると同時に、歯周病の炎症産物がインスリンの効果を弱めコントロールを悪くします。
(4)「誤嚥性肺炎」:高齢者は飲み込む力や咳反射の低下により、歯周病原性細菌などの口中の細菌が肺炎の引き金にもなると考えられています。誤嚥性肺炎の予防には、口腔ケア等々で歯をできるだけ温存し咀嚼機能を保つことで脳へ刺激を与え、「飲み込み・咳反射」を改善させることです。
(5)「骨粗しょう症」: 歯周病で産生されるサイトカインには、骨代謝に影響を及ぼすものがあり、歯の喪失と骨密度の減少には関連があるという報告があります。逆に、骨粗しょう症の人が歯周病に罹患すると、歯周組織の歯槽骨が急速に吸収されることで症状が進行しやすくなる可能性が知られています。
(6)「その他」:私は歯周病が原因で、心臓内に感染性心内膜炎を起こし、抜歯と心臓手術で治癒した例を経験しています。抜歯部の細菌と、心臓切除部の細菌とは全く同じでした。歯周菌が全身を回っていたことの証拠です。さらに、敗血症による高熱が続く患者さんの治療に、歯周病になった歯を抜歯したところ、敗血症が劇的に治癒しました。 

 では、どんなことをすればいいのでしょうか。 
① 口の中の検査:虫歯や歯周病以外の口内がんも見つかりますし、歯の定期的な検診が重要です。
② 歯石取り:歯石をとるのが目的で、歯周病治療の一環です。
③ 歯のクリーニング:専用の機器・材料を使った徹底的なクリーニングで、虫歯と歯周病の予防になります。
④ 口腔ケア指導:歯垢の付着状況を把握して、各自に合ったプラークコントロール(歯みがき)方法の指導を受けます。

 高齢化を迎える団塊の世代はもちろん、あらゆる世代で「歯に関心を持つこと」は、認知症の予防・改善、さらには全身疾患を予防する大切なことです。何歳から始めても、遅いということはありません。

第65号 「かかりつけ医」って?  (2017年・秋)

第65号

 最近、「かかりつけ医」という言葉が浸透しつつあります。外国では「家庭医」とも言われ、アベ内科クリニックは開院当初より「総合診療科」を名乗っておりました。これこそが「かかりつけ医」の意味で、「総合診療科」「総合診療科医」といいます。その対極にあるのが「専門医」です。

 アベ内科クリニックの主張は常に「総合診療科医」です。人間は臓器の集合体ではなく、精神(脳という臓器)も含めてお互いが協力し合って「一つの個体」を作っていると考えます。個人は英語では「インディビジュアル」つまり「分割出来ないもの」と表現します。ですから、医師は患者さんの全体像を診ないで臓器だけに注目していると、臓器は良くなったとしても、患者さん全体としてはうまくいってないことが多々あります。患者さんの全体像を常に診ながら個々の臓器の問題に対処するのが「当院の役割」です。同時に専門医的知識をも持ってレベルアップした医療を、私はそれを目指す医師でありたいと常に思いますし、実際に私は米国でレジデントとしての資格試験に合格していますが、これこそが「総合診療医」です。

 日本では「町医者」と揶揄されることもありますが、米国では「家庭医」になるには「さらにレベルの高い試験」に合格しないといけません。高度な知識を要求され、病院に紹介した入院患者さんの治療に関して病院の医師を教育をする資格も有します。ですから、内科開業医を指して「あそこは〇〇が専門だ」という表現は当院の理念ではありません。どんなことでも一応は対処できるのが、当院でいう「かかりつけ医」です。

 一方で専門医はそれはそれで重要な位置づけにあり、もっと高次の医療機関への紹介が必要なら、ためらうことなく専門医に紹介するのも「アベ内科クリニック」の役割です。日本では、「かかりつけ医」と「病院(専門医)」との役割分担がはっきりしていません。一般に先進国では患者さんはまず「かかりつけ医」にかかり、問題があれば、病院に紹介します。一般に病院には紹介状がないと受診できません。米国の大統領でさえ、まず受診するのは「家庭医」なのです。今の大統領がそうするかどうか疑問ではありますが(笑)

第64号 メイルによる結果送信  (2017年・春)

第63号

 既にご存じのように昨年の四月から、メイルによる「検査結果の個別送信」をしております。当院もかなりのレベルで当院の機器で検査結果を出すことは可能です。特に急患或いは、即時に治療を開始する場合にとても役に立ちます。しかし、特殊な検査、例えばホルモン値、アレルギー関係、免疫関係、心不全の程度などは、結果は後日になります。慢性疾患の経過を見る検査も、当日に結果をみる必要はないことが多いです。しかし、検査結果は気になりますし、その結果を知るのが、二週間から一ヶ月先の診察日となれば対処が遅くなります。

 この問題を解決できないかと考えたのが、モバイルフォン(携帯電話・スマートフォン)の電話番号だけで送信する方法です。ショートメイル・SMS/MMS・Cメイルなどと言われる方法です。これは当院のコンピュータから送信する方法ですが、当院のように千人単位で各患者さんに送信する方法を作るのはそう簡単ではありませんでした。二つの大きな壁があり、一時はあきらめようとも思いましたが、知恵を絞りに絞って極めて容易な送信方法にたどりつきました。外部委託しても、このシステムを構築することはまず至難の業かと思います。

 この方法を使えば、当日から数日後には検査結果を知ることができ、次回の診察までに自己管理をすることができます。また、私が問題点を全て把握していますから次回診察の対処をあらかじめ準備することができ、問題が大きいなら診察に来て戴く連絡も可能です。その他の内容は裏表紙に記載しておきますね。

第63号 脂肪性肝炎から肝ガン??  (2016年・冬)

第63号

 「脂肪肝」なら、例の「メタボ」の一種かなあ?と身近に思えるでしょうね。肝臓の検査の代表であるGOT(AST)とGPT(ALT)は、検診・ドックなどでよくご存じですが、どんな意味なのか復習してみましょう。これらは肝細胞の中にある数知れぬ酵素の一部で、この二つは検査法が確立されているため、肝機能検査の代表格としてよく使われます。

 この数字が高いということは、肝細胞が壊れるから細胞内の酵素が血中に漏れていることを意味します。ですから脂肪肝といえども肝細胞に変化があることに違いはないのです。脂肪肝は一般にASTよりALTのほうが高くなります。しかし、反対にASTがALTより高いなら、それは要注意です。同じ肝細胞が壊れるとしても、一種の「肝炎」を起こしていると考えて下さい。脂肪肝が脂肪肝炎と変化している証拠です。

 ウィルス性肝炎とかアルコール性肝炎などはよく耳にされて、慢性肝炎さらに肝硬変へ、さらに肝ガン発生へと進行することもご存じかと思います。しかし、食べ過ぎなどによる脂肪肝も、場合によっては慢性肝炎から肝硬変に進行し肝ガン発症の元になるのです。そうすると「メタボ」と笑っておられないのです。

 脂肪肝炎とは、肝細胞の破壊が起きると、破壊された場所を埋めるように線維が集まってきます。繊維だらけになれば、肝臓の柔らかさは失われ硬くなります。これを肝硬変といいます。どの臓器も炎症が進んでいくと組織に変化がおきて、ガン発症の原因になるのです。脂肪肝も例外ではなく、「非アルコール性脂肪性肝炎」「脂肪性肝疾患」から肝硬変になることもあるのだと意識してみましょう。したがって脂肪肝を放置して食事療法や運動療法・禁煙をおろそかにすると、重大な結果になることを再認識しましょう。

第62号 私はなぜ立っているのか  (2016年・秋)

第62号

 あるときから、私が待合室に立ち始めていることに気がつかれていると思います。こんなクリニックが日本にあるかどうかはさておき、どうしてでしょうか?効率よく仕事をするため?待ち時間を少なくするため?看護師の代わり?私の人間の多面性を見せるため?患者さんが薬だけで帰るのを監視してる?残念ながら、どれでもありません!結果として、そのようにはなっていますが、目的ではありません。

 昨年、米国のインターネットに「タバコよりもっと危険なもの」というタイトルがあり、興味深く読むと、それは「座っていること」でした。ショックでしたね~、私は座りっぱなしでしたから。最近、立って仕事をする会社が増えているとか。作家ヘミングウェイも立って執筆していたという。

 では、クリニックでは可能か?難しい問題に直面しました。賛否両論あるでしょうが、私は「自分の健康を保てて初めて診察ができる」が故に「立つ」ことにしたのです。女性とか他人に聞かれたくなければ、後方に第二診察ポジションがあり、さらに極めて深刻な問題や、ガンの告知などにはご家族も一緒に話しができる第三診察ポジション(旧診察室)があります。どちらもレントゲンを一緒に見られます。

 私はこの三つの診察ポジションを使い分けることで自らの健康を保ち、残る命を社会に貢献する強い決心をしただけなのです。

第61号 靴  (2016年・春)

第61号

  区費を払いに行ったら公民館に「靴べら」がなくて苦労した。誰も使わないのだろう。クツって何のためにあるのだろうね?「裸足ならケガをする」「足が汚れないように」「オシャレのため」等々。人間が「二足歩行を始めたために腰痛が起こる」と私も信じていたが、人類に初めて進化したアフリカ中央部付近の「マサイ族には腰痛はない」と知って、歩行と腰痛は関係ないと知って驚愕した。我々はあまりにも文化的すぎて、クツの効用からかけ離れていると思う。

  もし、クツを履いたり脱いだりすることが簡単にできるとしたら、そのクツは真の意味でクツの働きをなしていない。なぜなら、足とクツの間はスキマだらけだから、自分の足で歩いているようで実際は「クツを運んでいる」ことになる。よいクツは足とクツとにスキマのない状態にあるもので、履くときは足をクツに入れてカカト部分を地面に叩いてスキマをなくしてから紐でしっかりと結ぶ。そうすると、まるで自分の足の裏で地面を歩いているかのようになる。両足のカカトから地面に着け、親指から抜けるようにして歩く。頭は空からつり上げられているかのように、視線をまっすぐにして歩く。もし、それが不自然に感じるなら、そのクツはあなたの足に合っていない。両足のバランスがくずれているからだ。膝痛や腰痛は誰でも起こり治療しても治りにくいが、それはその部分だけを治そうとするからで、原人じゃなくて原点にかえって「足の裏で歩く感覚」を取り戻し、親指から抜けるように意識的に歩けば、そのバランスのよさは膝そして腰のバランスにも影響を与えるはずだ。

  クリニックで、クツの脱着をしてもらうと、100%簡単に脱げて簡単に履ける。そうではなくて、靴べらを利用してしっかりとカカトから紐で絞めて、脱ぐときは紐を緩めてクツを脱ぐ。患者さんは「そんな面倒な!」と言われるが、そもそも問題を解決するということは「面倒なことをあえてする」ことに他ならない。楽をして何もしないで健康が自動的に与えられるものではない!と思いたい。