糖尿病
■糖尿病とは
●インスリンは膵臓から分泌され、生理的に肝臓、筋肉、脂肪などの各組織において糖代謝を調節している重要なホルモンです。
●そのインスリンの作用不足から慢性的な高血糖値を特徴とし、全身の代謝異常から血管を中心とした余病(合併症)をひき起こす成人病が糖尿病てす。
●治療上大きく2つのタイプに分けられます。
1-インスリン依存型(IDDM,1型):インスリン分泌が欠乏するため発症直後からインスリン治療が必要なタイプです。
2-インスリン非依存型(NIDDM,2型):多くの成人発症例が含まれます。比較的軽症ですが発見、治療が遅れることもあります。
●ほかに妊娠に件うもの、ほかの疾患に続発するもの、などがあります。
■原因と遺伝
●遺伝的な体質の上に、肥満・過食・運動不足などの悪い生活習慣に基づく環境因子や免疫の異常などが重なって発症します。
●1型糖尿病では兄弟やつぎの世代で繰り返す確率は5%以下で非常にまれですが、より多い2型では家族内発症も高率てす。
●糖尿病の患者さんの家族は定期検診をきちんと受けて、肥満・過食を避けるなどの予防が必要です。
■診断は
●血糖値が著しく高値を示す場合(空腹時血糖値:140mg/dI以上あるいは随時血糖値:200mg/以上)、ほかに過性の原因がなければ糖尿病と考えます。
●軽度の血糖上昇を認める場合にはブドウ糖負荷試験を行って診断します。
■治療は
食事療法
●1日の摂取エネルギーを必要なだけにします。普通、食品交換表に従って1,400〜1,800kca/日くらいにしますが、これは労作を考えても平均的な日本人の必要所要量に比較して大きな差はありません。むしろ理想的な健康食と考えられます。それが少なく感じるのは、それまでの食生活に問題があったせいかもしれません。
運動療法
●心臓などの合併症についてのチェックを受けてから始めます。糖尿病は汗して治そう。内容はスポーツではありません。“いつでもどこでも一人でも”行なえ、週3回以上1回20分以上持続できるもので、苦しくなく軽く汗をかく程度の運動を長期間行ないます。
●肥満、過食、飲み過ぎ、運動不足を十分解消しても満足のいく血糖がえられない場合は、インスリン分泌が不足していると考えられます。この場合は薬物療法が必要です。このような場合は躊躇することなく、医師の指示どおり薬物療法を受けましょう。高い血糖値が続けば重症の合併症が進展する可能性があります。
●薬物療法では経口血糖降T薬、インスリンともに、食事療法が前提となります。通常、薬物はインスリンの不足を補うだけであり、決して糖尿病全体を治療できるものではありません。
■検査と治療の指標
●1〜2ヶ月に1度は医師の診察・検査およびコメディカルの指導を受ける必要があります。とくにグリコヘモグロビン(HbAlc)は1〜2ヶ月間の血糖の平均的な指標として重要です。自覚症状だけにたよらず、このような客観的な指標を用いて行ないましょう。
■日常生活での注意点は
●下肢に糖尿病性壊疽(えそ)を作らないように足の指先は清潔に保ち、小さな傷もつけないように注意が必要です。深爪をしない、サンダルはなるべく避けて、靴下をいつも着用しましょう。
●薬物療法を行なっている場合は、常に低血糖に注意している必要があります。大抵は同じ症状を感じますので携帯している糖分を摂取し、早めに食事にしましょう。このとき我慢はしないようにご家族も低血糖の症状を知っていなくてはなりません。またいつも糖尿病療養手帳などを身につけて、出先などでも適切な対処に備える必要があります。
●正しい療養を続ければ、どんな人生にもチャレンジできるはずですインスリンを打ちながらも、大成した有名なプロ野球選手や大相撲力士もいます。糖尿病は,すっかりなくなってしまうことはありませんが、克服すれば病気がないのと同じ、あるいはむしろ健康的な生活も送れます。糖尿病の専門施設であれば、日本糖尿病協会に属している”患者の会”のような集まりもあります。このような場を通しての活動も療養生活に大変役立ちますので利用しましょう。
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