大腸癌

 大腸は、小腸の末端につながる盲腸からはじまって、結腸、直腸、肛門に至るまでの長さ約180センチにおよぶ腸管の総称です。大きな意味でいえば、この範囲にできた癌はすべて大腸癌といいますが、直腸癌、肛門の癌は、大腸癌とは区別して呼ぶこともあります。ここでは、直腸癌と肛門の癌は除外して解説します。
 虫垂も結腸の一部ですので、ここでいう大腸癌は結腸癌とイコールということになります。
 最近は食事の欧米化などに伴って大腸癌が急増しています。大腸癌は50歳以上の高齢の人に多くみられます。胃癌に比べると、患者層が少し高齢に偏っています。大腸癌は、早期に発見すると比較的簡単に治療が行えるので、治りやすい癌と言えます。ですから早期発見が何よりも大事なことになります。
 症状は、便に血液が混じっていることから発見されることが最も多くなっています。これに次いで多いのが、便秘、腹痛、下痢などです。これらの症状に気付いたら、是非一度病院などで検査を受けられるのがよいでしょう。
 しかし現実には、これらの症状を知りつつも70パーセント以上の人が3ヵ月以上放置しているということが、ある調査でわかっています。
 癌が大きくなり腸管をふさいで狭くしてしまうと、腹部が張り、腹痛がおこったりします。さらに進行すると、貧血や全身衰弱が見られるようになります。こうした段階になると、もう簡単に治すことはできない状態になってしまいます。
 最近では、人間ドッグで大腸の内視鏡検査を行うところも多くなってきました。大腸ファイバースコープで検査すると、排便時に出血のある人では、約2%に大腸癌が発見され、約20%にポリープが発見されるといわれています。ポリープは良性の癌なのですが、放っておくと一部は癌になる恐れがあるとされています。大腸ファイバースコープで検査した場合、ポリープを発見したらその場でポリープを切除します。これをポリペクトミーと呼んでいます。ここまで検査を行えば、数年は安心して過ごすことができます。何年かに1回は人間ドッグなどで、大腸ファイバースコープ検査等を受けられるのが賢明かと思われます。

大腸癌の予防には

(1)高脂肪、低繊維の食事が大腸癌の原因になりやすいので、脂肪を多くとらず、繊維分の多い野菜などを多く取るようにする。
(2)バランスのよい食事をとる
(3)便秘をしない規則正しい食生活をし、排便習慣を作る。