慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患というのは、一般の方にはなじみにくい病名だと思いますが、これに含まれる病気の名前を聞くと、「それなら知っている」と思われるかも知れません。(1)慢性気管支炎、(2)肺気腫(3)びまん性汎細気管支炎を包括したのが、慢性閉塞性肺疾患と呼ばれる病名なのです。慢性気管支炎、肺気腫、びまん性汎細気管支炎以外に、内因性喘息を含めて、慢性閉塞性肺疾患と呼ぶこともあります。では、なぜこれらの病気が、慢性閉塞性肺疾患と呼ばれるのでしょうか。この三疾患には、共通した特色がいくつか知られているからです。1.気道が広範にかつび漫性に狭窄している、2.気流の閉塞性障害が起こっている、等があげられています。しかし、上にあげたような障害も病気によって、起こり方が違ってきます。慢性気管支炎では、気管支、細気管支壁で慢性炎症が起きていたり、気道内腔へ分泌液が貯まることなどが原因となります。肺気腫では、末梢気道の肺胞が破壊するため気流の閉塞性障害が起こります。また喘息では、気管支収縮、気管壁の炎症、過剰な分泌液などのために閉塞性障害が起こります。

こうした閉塞性肺疾患は、大気汚染の増悪、平均寿命の延長、等にともなって、今後の社会では、呼吸器疾患の中心的な病気になるのではないかと見られています。これらの慢性閉塞性肺疾患がある場合には、もちろん医療機関で診断治療を受けなければならないのは当然ですが、日常生活でどうしても守ってもらわなければならないことがあります。それはよくいわれる「禁煙」です。慢性閉塞性肺疾患は、各種の病気の中でも、日常生活でもっとも禁煙が重要視される疾患の代表例です。しかし慢性閉塞性肺疾患になるまで、喫煙を行ってきた患者さんは、数十年の喫煙の歴史を持っていて、なかなか禁煙に踏み切れないのも事実です。そういう患者さんには、喫煙中の咳や痰がないか、等をよく考えてもらい、そうしたことをきっかけに禁煙に結び付けていくのがよいとされています。

慢性閉塞肺疾患とは

(1)慢性気管支炎
(2)肺気腫
(3)びまん性汎細気管支炎を包括したのが、慢性閉塞性肺疾患と呼ばれる
ただし、慢性気管支炎、肺気腫、びまん性汎細気管支炎以外に、内因性喘息を含めて、慢性閉塞性肺疾患と呼ぶこともある